「〇〇までにあと-3kg」と体重の数値を目標にしたり、体重1kgの増減に一喜一憂したりしていないでしょうか。体重とは、筋肉や骨、内臓、脂肪など体のすべてが含まれた重さです。単に体重が減っても、それが筋肉が減ったことによる体重減少では、むしろ体は痩せにくい体質になってしまい、リバウンドの可能性がでてきてしまいます。

そこで、「体重を減らすことを目的にするとどうなってしまうのか」「健康的に美しく痩せるために、自分のいまの適正体重などを知る方法」「体脂肪の役割」などについて確認していきます。

体脂肪を減らすことが本当のダイエット

健康的に美しく痩せるために、減らさなければいけないのは多過ぎる体脂肪です。目的が「体重を減らすこと」と「体脂肪を減らすこと」では、結果が大きく変わってしまいます。

では、体重を減らすことが目的になるとどうなってしまうのでしょうか。

単品ダイエットでは脂肪を燃やせない

単純に体重を減らすのであれば、数日水だけで過ごせば体重は減ります。1つの食材だけを食べる単品ダイエットなども同じです。例えばキャベツダイエットはカロリーが低く、ビタミンや食物繊維もとれヘルシーです。そこで、キャベツのみをたくさん食べて胃を膨らませ満腹感を得つつ体重を減らすというダイエットです。

このような1つの食材のみを食べるダイエットでは、体に必要なたんぱく質や脂質、炭水化物といった栄養がまったくとれません。脂肪を燃やすためには、筋肉がとても重要です。筋肉にはたんぱく質が欠かせない栄養素です。さらにたんぱく質や脂質、炭水化物といった栄養素は、健康な体をつくるうえで大切です。

1つの食材のみを食べるようなダイエットでは、脂肪を燃やすための筋肉がどんどん減ってしまいます。その他にも摂取した栄養をしっかり消化・吸収するためにかかせない内臓や、神経組織などにも悪影響を与え、体力や免疫力が落ち、病気にもかかりやすくなってしまいます

無理なダイエットはリバウンドを起こす

さらに、食べないダイエットや単品ダイエットは無理に食欲を我慢する必要があります。そのようなダイエットは長続きできません。ダイエットをやめた途端に我慢していた分を食べ過ぎてしまい、リバウンドが起こりやすくなります。ダイエットをする前よりさらに脂肪がついてしまうこともあります

事実、食べないダイエットをしたとき体重は落ちましたが同時に筋肉も落ちてしまったため、体脂肪率は1~2%増えていました。これを何度も繰り返した結果、普段の食事量を少なくしていたにもかかわらず、体重は変わらないまま体脂肪率が5%も増えてしまったことがあります。

食欲を無理に我慢するダイエットはストレスになり、何かのきっかけで食欲が止まらなくなる過食症や、食べることが怖くなる拒食症などの摂食障害の危険性もでてきます。

また、体重を減らすことだけを考えたダイエットなどは、最初は体重も減りますが食べない状態に体は反応を示し始めます。体は必要な栄養が入ってこないことがわかると、筋肉を減らし体脂肪を増やすことでエネルギーを温存し始めます。そのため、少ししか食べていないのに体重が減らず、むしろ体重(脂肪)が増えるようになってしまうのです。

食べないダイエットなどをして必要な栄養が体に入ってこないと、体は生きるために脳、心臓、骨などへエネルギーを優先して使いはじめます。そのため皮膚や髪、筋肉など命に関わらない組織に栄養が行き渡らなくなります。

必要なエネルギーが入ってこない状態がさらに進むと、体はよりエネルギーを温存しようとするため、脂肪は使われないまま栄養不足だけが進んでしまいます

脂肪を落とさないダイエット

ではサウナなどでたくさん汗をかくことは、痩せることになるのでしょうか。サウナなどで汗をかくと、体から水分がでるため一時的に体重は減ります。しかし汗には脂肪がほとんど含まれません。そのため、汗をかくことが体脂肪を落とす(痩せる)ことにはなりません。

また「1週間で-〇kg!!」「飲むだけで〇kg減!」といった薬やお茶なども注意が必要です。痩せる薬や痩せるお茶と呼ばれるものは、下剤や利尿剤であることが多いのです。これら下剤や利尿剤は便や水分を体から出し、一時的に体重を落とすだけのものです。

例として、下剤について確認していきます。便秘症の人などは、腸内に排出されずに多くの便が溜まってしまっています。重い便秘症の人の場合、腸内に便が3~5kgも溜まっていることがあります。その溜まっている便を下剤ですべて出してしまえば、一気に体重は減ります。

さらに、利尿剤についても確認します。利尿剤を摂取すると、大量の水分が体内から尿として排出されます。私たちの体の半分の約50~65%は水分でできています。50kgの女性であれば25kg以上の水分が体内にあることになり、利尿剤を摂取し大量の水分を出してしまうことで、体重を減らすことができます。

しかし、これは前述の通り一時的に体重を減らすだけです。さらに、利尿剤などは脱水症状を起こしかねない危険なものです。これらは、体脂肪を減らす効果はなく本当の意味で痩せたことにはなりません。

理想体重を知る

美しく健康的に痩せるためには、体重ではなく体脂肪を落とすことが大切です。しかしそのためには、いまの自分の体を客観的に知ることが重要です。ではあなたの標準体重はどのくらいでしょうか。

ダイエットをしていると、よく目にする指標として「BMI」があります。これは Body mass index の頭文字を略したもので、国際的な基準として世界でもっとも広く使われている体格指数です。計算式は世界共通ですが、肥満の判定数値は国により変わります。日本肥満学会ではBMI22.0を標準体重、25.0以上を肥満、18.0未満を低体重としています。

この「BMIの標準体重数値22.0」は、過去の日本人の調査データから導き出されたものです。BMI22.0のときが病気にかかる率がもっとも少なく健康的で理想的な値だとされているため、標準体重とされています。

この基準値をもとに自分の標準体重を求めるには、自分の身長(m)を2乗し、BMIの標準値22.0をかけます。

標準体重 = 身長(m)× 身長(m)× 22.0

例えば、身長158cmの人の標準体重は次のように求められます。

標準体重 = 1.58 × 1.58 × 22.0 = 2.49 × 22.0 = およそ「54.8kg」となります。

日本肥満医学会のBMI肥満基準

状態 指標
低体重(やせ型) 18.5以下
普通体重 18.5~25.0未満
肥満(1度) 25.0~30未満
肥満(2度) 30~35未満
肥満(3度) 35~40未満
肥満(4度)) 40以上

自分の身長の標準体重がわかったでしょうか。次に、いまのあなたのBMIを計算してみましょう。BMIは体重(kg)を、身長(m)の2乗で割ります。電卓で計算する場合は、自分の体重と身長をメートルに換算して、2回割り算をします。

BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

例えば、身長が158cm(1.58m)で、体重が55kgの人は次のように求められます。

BMI = 55 ÷ 1.58 ÷ 1.58 = 22

身長が158cmで、体重が55kgの人はBMI22.0で理想的な標準体重だということがわかります。

肥満度を知る

次に肥満度を計算してみましょう。日本肥満医学会に肥満度の算出式があり、次のように求めます。

肥満度(%)=(実測体重 -標準体重)÷ 標準体重 × 100

例えば、身長158cmの人の標準体重を求める式は、さきほどのBMI標準体重を求める計算式で計算すると、身長158cmの人の標準体重は「1.58 × 1.58 × 22.0 = 約54.78kg」となります。

身長158cm、体重70kgの人の場合、肥満度の式は「肥満度 =(70 - 54)÷ 54 × 100 = +29% 」となり、下の表をみると「肥満」となります。

同じ身長158cmで、今度は体重が45kgの人の肥満度の式は「肥満度 =(45 - 54)÷ 54 × 100 = -16% 」となり、下の表をみると「痩せ」となります。このように、標準(普通)体重よりも少ない場合の肥満度は、マイナス(-)で表されます。

日本肥満医学会の肥満度基準

肥満度 判定
-10%未満 やせ
-10%以上~10%未満 普通
10%以上~20%未満 過体重
20%以上 肥満

自分の標準体重と、いまのあなたのBMI・肥満度がわかったでしょうか。このときBMI・肥満度が標準(普通)であっても注意が必要です。それはBMIや肥満度には、体脂肪率が含まれていないからです。体重だけで肥満度を判定するのではなく、より正確に自分の体の肥満度を知るために、体脂肪率を知ることが大切です。

なぜならBMIや肥満度の判定をするとき、筋肉や骨量が多い人は体重が重いことが多いため、肥満と判定されることがあるからです。反対に、BMIや肥満度で痩せと判定されても、筋肉が少なく脂肪が多い隠れ肥満の場合があるのです。

しかし、まず自分の標準体重やBMI、肥満度を知ることはとても重要です。現状を把握して客観視することができ、肥満判定の最初の目安になるためです。

体脂肪を知る

BMI・肥満度がわかったら、次は体脂肪のことを知りましょう。ダイエットで落とさなくてはいけないのは体脂肪です。しかし本来、体脂肪は悪者ではありません。体脂肪の役割は「①エネルギーを貯めておく」「②体温を保つ」「③臓器・組織間のクッション作用をする」などの大切な働きがあります

私たちの体は固形分約45~50%、水分約50~65%で構成されており、体の半分以上が水分でできています。水分の次に多い成分が体脂肪です。体の固形分のうち約半分は体脂肪でしめられています。年齢や体質により変わりますが正常な体であれば、女性では体重の約20~25%が一般的な体脂肪の割合です。

固形分の残りの約半分は、おもにたんぱく質や糖質が含まれる筋肉、ミネラルなどが含まれる骨の部分になります。この脂肪以外の筋肉や骨などの体組織のことを「除脂肪」といいます。

除脂肪量が多いということは、筋肉量が多いということになります。同じ体重でも、脂肪ではなく筋肉が多い場合は見た目にも筋肉で引き締まり、肥満とはいいません。また筋肉のほうが脂肪より重いため、筋肉が増えると体重が増えることがあります。

脂肪は飢えに備えたエネルギーの貯蔵庫

そもそも脂肪はなぜつくのでしょうか。これは、昔からの生活様式が関係しています。私たち人間は300~400万年前に誕生しました。人間は何百万年も、いつ食べ物が手に入るかわからない「飢え」と戦ってきたといわれています。

人類は長い飢えとの戦いのために、エネルギーを貯蔵しておくように体を変化させ適応できるように進化しました。その結果、体の中に貯蔵庫をつくりだしました。エネルギーを体の中に貯めておき、食べ物がないときに貯めておいたエネルギーを使い、生きられるようにしたのです。

その体の中に貯めておくエネルギーが、体の脂肪です。皮下や内臓の周りに脂肪を蓄えておき、食べ物がないときにこの蓄えた脂肪をエネルギーとして使うのです。

さらに、女性は男性より皮下脂肪が多くつきます。それは女性が妊娠・出産ができる仕組みのためです。女性が妊娠中にエネルギーを摂取できないとき、胎児へ栄養を送れず種が絶えてしまうのを防ぐために、皮下脂肪としてエネルギーを蓄えておく体になったのです。

脂肪を溜め込みやすい体の仕組みを意識する

数百万年の間受け継がれてきた「飢え」への進化は、遺伝子の中にプログラムされています。しかし現代は飽食の時代といわれ、飢える心配がほとんどなくなりました。コンビニは24時間営業していますし、食べたいものを好きなだけ注文できます。

いつでも食べたいものが食べたいときに手に入るようになりました。しかし豊かな飽食の時代は、わずか数百年の話でしかありません。たった数百年では遺伝子のプログラムは変化しません。

何百万年の間受け継がれてきた「飢え」への体脂肪の進化は、遺伝子の中に組み込まれています。そのため私たちは「飢え」に備えて、脂肪を溜め込みやすい体の仕組みなのだと意識しておくことが大切です。

ただ、本来脂肪は体温を保ち臓器のクッションになるなど、体にとって必要なものです。問題なのは体脂肪が多くつき過ぎてしまうことです。その体脂肪の比率、つまり体のなかで体脂肪率が多くなり過ぎることが問題なのです。

肥満とは、体脂肪が多いことである

では、ダイエットの鍵となる体脂肪とはどのようなものでしょうか。「肥満とは単に体重が重いことではなく、体内に脂肪が過剰に増えてしまっている状態」を指します。

つまり肥満とは、体脂肪が多いということです。そのため、単純に体重が減ったからと喜ぶのはおかしいことになるのです。重要なのは体重を減らすことではなく、体脂肪を減らすことです。

さきほど紹介した、BMIや肥満度で痩せと判定されながら、筋肉が少なく脂肪が多い隠れ肥満の場合などは、自覚がないだけで生活習慣病などの大きな問題を抱えていることがあります。そのため、体重だけで肥満度を判定して安心せず、体脂肪率を測ることが大切です。

体脂肪率は体脂肪計で簡単に測れる

家庭用の体重計には、体脂肪率を計ることができる「体脂肪計」があります。性別、年齢、身長などの数値をあらかじめ入力し体脂肪計に乗るだけで、簡単に体脂肪率が計測できるようになっています。中には、体幹部や脚、腕などの部位ごとに脂肪量や内臓脂肪レベル、筋肉量まで細かく測れる「体組成計」と呼ばれるものもあります。

体脂肪率を測るにはさまざまな方法があります。家庭用の体脂肪計はさまざまな方法の中でも、生体インピーダンス法が多く使われています。生体インピーダンス法は測定時に体の一部分に微弱な電流を流し、その電気抵抗値を測定することで脂肪量を推定します。

筋肉などに含まれる水分は電気を通し、脂肪はほとんど電気を通しません。その脂肪の電気の通りにくさ(電気抵抗値)を測ることにより、脂肪量を測ります。そのため生体インピーダンス法は体内の水分量に大きく影響されます。

体内の水分の状態は、1日の中で摂取した食事や水分量、運動・入浴などで失う水分量により大きく変化しています。また体の電気抵抗値は、朝起きてすぐが1番高く、その後低くなり、夕方から夜にかけて安定します。そのため体脂肪率の正確な数値を知るには、できるだけ毎日おなじ時間、同じ状態で測ることが大切です。

体脂肪率の数値を計るタイミングは、夕方か夜のお風呂に入る前が良いとされています。1日1回、決めたタイミングで下着に近い状態になり、素足で体脂肪計に乗り測定します。体脂肪率は毎日の数値の変動にとらわれず、数日から数週間ごとに比較して体の変化をみる使い方がおすすめです。

女性の体脂肪率

体脂肪率 判定
低い ~19.9%
標準 20.0~29.9%
やや高い 30.0~34.9%
高い 35.0%~

では、女性の適正な体脂肪率はどのくらいでしょうか。女性は20.0~29.9%の範囲内が適正といわれています。あなたの体脂肪率は標準値に入っていたでしょうか。BMIや肥満度が標準(普通)でも、この体脂肪率を含めて判定することが大切です。

体脂肪は女性の体を守る役割がある

ここで注意したいのは、体脂肪は女性の体でとても大切な働きをしているため、少な過ぎるのは危険だということです。

成人女性の場合、体脂肪率が成人男性より7~8%高くなっています。女性の体脂肪率が男性より高いのは月経と深い関わりがあります。女性が体脂肪を落としすぎた場合、アンドロゲンという男性ホルモンの働きが活発になり、女性ホルモンであるエストロゲンが働かなくなります。

エストロゲンは月経を毎月正常に機能させる働きがあり、エストロゲンが分泌されなくなると月経不順や異常が起きてしまいます。またエストロゲンは骨をつくる働きにも関わっています。

そのためエストロゲンが分泌されなくなり、月経が止まってしまうと、骨はカルシウムの吸収ができなくなってしまい、結果としてもろくなっていきます。どれだけ食事からカルシウムを摂ったとしても、骨に吸収できなければ尿といっしょに排出されてしまいます。その結果、骨がもろくなって折れやすくなる骨粗鬆症にかかる可能性がでてきます

思春期こそ間違ったダイエットに注意が必要

月経が止まってしまうということは、妊娠・出産もできなくなってしまう可能性がでてきます。とくに思春期の頃、脂肪の蓄積により女性ホルモンが成熟します。

思春期の年齢になっていても、体脂肪が17%以下のときは月経が始まらないといわれています。さらに体脂肪率が13~10%以下になると月経が止まってしまうことがあるのです。そのため思春期の頃から適度な体脂肪は大切です。思春期は女性の体の一生を左右する大切な時期です。無理なダイエットや過度なダイエットには注意しましょう。

早く痩せたいと多くの女性が思われると思います。しかし充分な栄養を摂れないダイエットや体重を減らすことが目的のダイエットは、一時的なものでしかありません。反対にリバウンドをして体脂肪が増えてしまう可能性もあります。

大切なことは、いまの自分に適切な体重と体脂肪率を知りそこに近づけていくことです。体脂肪を減らしていけば、自然と体重も減っていきます。脂肪を燃やす(体脂肪を減らす)ためには、筋肉がとても重要です。

筋肉を落とさず痩せやすい体をつくるために、たんぱく質や脂質、炭水化物といった栄養素を摂ることは欠かせません。美しく健康的に痩せるためには、体重を減らすのではなく余分な体脂肪を減らすことが大切です。